便秘を治す その1
日本生薬学会幹事
中国長春中医学院名誉教授
薬学博士
林 輝明
最近、若い人達の間で、便秘症に悩む方が増えています。便秘は単におなかが張って気分が悪いというだけではなく、美容に大きく関係し、アレルギーの発病の引金にもなるので、ぜひ解消したいものです。
- なぜ便秘が起きるのか? -

 私達の腸は、小腸と大腸に分かれ、栄養物を吸収し、体内に入ると害を与える異物や不要物を排出してくれる役目をもちます。 小腸は約3メートル弱の長さで、伸ばすと5〜6メートルぐらいになります。
 また、大腸は1〜1.5メートルの長さをもち、胃を出た食物が小腸を通過するのにだいたい3〜4時間、大腸を通過するのは約15時間かかるといわれています。
 もちろん個人差がありますが、通常3日以上、お通じがなければ、便秘と呼ばれます。

 胃を出た栄養物は、小腸の十二指腸、空腸、回腸を通過する間に、胃で中途まで消化された蛋白質はアミノ酸に、含水炭素はブドウ糖のような単糖類に、脂肪はグリセリンと脂肪酸に分解され、栄養のほとんどと大半の水分が吸収されます。 そして繊維のような消化酵素で消化されないものが選り分けられて大腸に入り、盲腸から上行、横行、下行結腸へ送られていく内に水分が吸収され、S字状結腸に入って、一旦そこで止まり、だいたいかたちが整えられて、直腸に入って便意を生じ排出されていくのです。
 この腸の筋肉が、順序正しく、次々と収縮して送り出していく運動を蠕動運動と言います。 しかし、便意は直腸に入って始めて生じるので、直腸に入った刺激が粘膜から、信号として大脳に送られ、大脳が排出を命じるのです。

 この刺激の到達感度が、老年期に入って衰えたり、便意を催したとき我慢を重ねていると次第に低下し、直腸性便秘を生じます。 また老化や出産等によって腸の蠕動運動が弛んで、働きが弱くなると、直腸までの送り出しに時間がかかり、しかも大腸での滞在時間が長いため水分吸収が過剰になって便の固化が進み、便秘となります。 この型を弛緩性便秘といいます。以上の二つは単純性便秘とも呼ばれ、しばしば同時に起こって、大半の便秘症はこれに属します。
 これ以外に痙攣性便秘といって、大腸が逆に緊張し、あちこちに痙攣をおこして、蠕動が順序よくいかず、内容物が行き戻りして先に進まなかったり、1ヶ所が締まり過ぎて通りにくくなったりして生じる便秘で、左下腹部に強い痛みを感じ、主として自律神経の狂いによって起こります。 また癌とか、腸管癒着などによって生ずる症状性便秘があり、いずれも痛みを伴います。 これらの便秘には素人療法は禁物で痛みのある便秘は、医師の診断を仰ぐ必要があります。
 それでは単純性便秘をどう解消するかを考えてみましょう。

 
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