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馥郁たる香りの新茶が出回っています。茶はツバキ科の常緑樹で、原産地と言われる中国
の四川、貴州、雲南の三省にまたがる山間地帯から、紀元前に揚子江の下流に拡がり、3
世紀以降栽培が盛んに行われるようになりました。そして、8世紀の中頃には陸羽という学者が「茶経」を著わして、お茶の製法や効用を記述するまでに、日常飲料として中国に定着していったのです。
日本へは、奈良時代に渡来し、鎌倉時代に榮西という禅僧が、お茶の種子を中国留学から持ちかえり、京都の高山寺の明恵上人に贈り、上人が宇治に植えて広まったといわれています。
緑茶と紅茶とウーロン茶は、同じ茶の葉から作られますが、緑茶は蒸したり釜で炒ったりして、発酵を完全に止めて、酸化されて葉緑素が赤くならないようにした不発酵茶です。これに対して紅茶は逆に発酵室に入れて完全発酵させたお茶であり、ウーロン茶はその中間の少し発酵させた半発酵茶なのです。紅茶の製法は、宗の時代に中国で発明されたといわれ、17世紀以降、中国南部の地方茶であったウーロン茶と共に広く生産されるようになりました。

発酵の違いにより、三者は味も香りも異なりますが、含まれるビタミンCの量にも相違を生じます。緑茶に属する煎茶100g中には蜜柑の約7倍の250mgが含まれ、番茶には約4倍の150mg、抹茶でも60mg含まれるのに、発酵の進んだウーロン茶には僅かに8mg、紅茶には全く含まれていないのです。 お茶は平安時代、貴族の間で長生きの薬として用いられていました。「人は血管と共に老いる」との西洋の諺どおり、人の老化は血管の衰え、動脈硬化から始まるのです。そして動脈硬化は、脂肪の酸化された過酸化脂質によって、著しく促進されます。
お茶の中のエ ピカテキンというタンニン質は、この過酸化脂質のできるのを強く抑制し、その効力はビタミンEの50倍以上もあって、血管を若々しく保ってくれます。そして血中の過剰なコレステロールや中性脂肪を除いて、血行の良いサラサラした血液を作ってくれるのです。私たちの食生活が、肉食中心主義に変わった今日、お茶は老化を促進する過酸化脂質の毒消しとして、大切な役目を担っているのです。
このエピカテキンの含まれる量は、緑茶も紅茶もウーロン茶も殆ど変わりありません。さらにお茶は、ビタミンPと呼ばれるルチンやケルセチンを多く含み、毛細血管を強化して、血管のもろくなるのをこの面から防止し、動脈硬化を予防します。緑茶の中に2.3%〜 3.5%含まれているカフェインは、脳血管を拡げ、頭への血の流れを促進して、栄養の補給を良くすると共に、大脳を穏やかに興奮させて、眠気をさまし、精神活動を高め、疲れを 取ってくれます。そして心臓の働きを盛んにし、利尿を増進します。紅茶には2.7% ウーロ ン茶には約2.4%入っています。緑茶の旨味成分であるテアニンというアミノ酸は、このカフェインの興奮作用を抑える働きを持っており、コーヒーとか紅茶に比べ、緑茶の興奮性をマイルドにしています。
お茶は利尿剤でもあり、尿の出を良くして、体のむくみをとってくれます。これは、テオブロミン、テオフリンという強い利尿成分を含んでいるからです。お茶の渋味成分である タンニンは、粘膜や皮膚を引き締め保護する収斂作用や消臭作用、止血作用を持つと共に、殺菌作用があります。肺炎双球菌や真菌(カビ)に対して、抹茶の浸出液を2倍に薄めても、その発育を阻止し、溶連菌は4倍、大腸菌には8倍に薄めても阻止効力を発揮します。従ってお茶は手近にある素晴らしいうがい薬にもなるのです。風邪をひいたかなと 思ったら、すぐお茶でうがいをしてください。
昔から「宵越しのお茶は飲むな」といいますが本当なのでしょうか。緑茶の中には蛋白質が多く含まれ、湯の中には煎出されず葉の中に大半が残っています。冬は別として、気温が上昇すると、この蛋白質が腐敗する恐れがあります。また茶がらに残ったタンニンは外温で酸化されて刺激の強い酸化物に変化し、この酸化物が胃腸を強く刺激し、炎症を起こす原因になります。こうした事を考えると、宵越しのお茶はやはり飲まないほうが無難なようです。

次に薬用茶について考えてみましょう。まず便秘を治してくれるハブ茶です。これはエビスグサという野草の種子で、漢方薬局でケツメイシという名で売られています。これを弱火で軽く炒り、パチパチしてきたら火を止め、空缶などに保存しておきます。一日20gを 水0.7リットルで半量になるまで弱火で煎じ、随時お茶のように服用します。飲みにくい場合は、薄めて飲んでも良く、体質に応じて量を加減します。含まれるアントラキノンという成分群が、腸の蠕動運動を高め、快適な通便をもたらしてくれます。
ハトムギを炒って作ったハトムギ茶は、コイキセノライドという成分を含み、一日15〜20gに水0.7リットルを加え半量まで煎じ、10日間位続けて服用するとイボを見事にとり、肌つやを良くし、滋養強壮にも優れた効果があります。漢方薬局でヨクイニンと名で入手できます。
又初夏の花期に全草をとって陰干ししたドクダミも薬用茶になります。ドクダミ20gを水0.5リットルで半量まで煎じ、一日3回に分けてのみ続けますと、冷え性、腰痛、便秘、蓄膿症が改善され、利尿を促進して、むくみがとれます。
高血圧に良い柿の葉茶は、柿の葉を若葉の内にとり、茶を作る要領で蒸してもんで乾かし、これを普通のお茶に半分混ぜて作ります。毎日お茶がわりに飲まれると、含まれるタンニンとフラボンの働きで、高血圧が改善されます。
腎臓結石や尿路結石の排石には、ウロジロガシや連銭草(カキドオシ)を漢方薬局で入手され、一日5gを、お茶代わりに煎じて連用されると効果があります。食欲増進、滋養強壮の保健茶としては、陰干しにしたクコの葉を5g位土びんに入れ、熱湯を注いで作ったクコ茶が良いでしょう。 |
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