おでんの効用 その1
日本生薬学会幹事
中国長春中医学院名誉教授
薬学博士
林 輝明
 日本には御節(おせち)料理をはじめ、鍋物、おでん、漬物、寿司、天麩羅、佃煮、酢の物、大豆や米の加工・発酵食品など各地に特色をもった数多くの伝統食があります。その土地に産する食材を利用し、四季の暑さ、寒さ、気候の変化に耐えられる体力作りの栄 養補給と食物の持つ食効で、体の自然治癒力を高め病気を防ぐ先祖の英知が込められているのです。
 今回は日本伝統食から「おでん」を選び、その効用について考えてみたいと思います。
-  おでんの歴史 -

 晩秋から早春の北風が身に凍みる頃には、ついおでんで一杯ということになりがちです。
 バランスのとれた栄養で体力と抵抗力をつけ寒さや風邪を防ぎ、酒の過飲の害から肝臓を守ってくれます。
 おでんは色々な食効と栄養が渾然一体となったオーケストラの料理といえましょう。おでんの由来は室町時代の末期、豆腐を串に刺して焼き、これに味噌や唐辛子を塗った料理を「田楽(でんがく)」と呼びました。宮中言葉でこれを「御田(おでん)」といい、これが転じて串に刺した煮物を全部おでんというようになりました。


 江戸時代に入ると豆腐だけではなく、大根、山の芋などの野菜や魚、こんにゃくなどもおでんに使われるようになりました。
 現在の串のない「煮込みおでん」は江戸中期の文化・文政の頃に出現しました。関西でこれを「関東煮き(かんとうだき)」というのは、江戸からはやりだした煮物という説と堺の港で中国の広東の商人が大鍋で煮たから「関東煮き」と名付けられたという説があります。
 味は全国的に薄口が主流になりましたが、関東は関西に較べて濃口で、かまぼこ、はんぺん、竹輪など練り物が多く、関西では鯨の脂肪のコロや舌のさえずりなども食材に使われます。また、中京地区では味噌でんがくが有名です。
 おでんの具に使われる食材には色々な薬効を持つものが多く、その薬効を検証してゆきましょう。

 
| Next |
 
| 健康に関するいい話TOPページ |  
 
Copyright PIP-FUJIMOTO Co.,Ltd All rights reserved.