おでんの効用 その2
日本生薬学会幹事
中国長春中医学院名誉教授
薬学博士
林 輝明
-  豆腐・あげ・巾着 -
 まず、大豆食品の豆腐とあげですが、ともにメチオニン、シスチンといった強肝アミノ酸を含む良質蛋白質が、肝臓を保護して酒の害を防ぎ、体の自然治癒力を強化します。さらに含まれる大豆サポニンやレシチンが血中の過剰のコレステロール、中性脂肪を除き、 過酸化脂質の生成を抑え血行を促進し、動脈硬化や高脂血症を予防改善してくれます。頭 の栄養素レシチンが、頭の回転を良くして老人ボケを防いでくれます。
 薄あげの袋に糸こんにゃくや鳥肉、椎茸、百合根、銀杏などを詰め込んで干瓢(かんぴょう)でしばった巾着もおでんに欠かせないものです。中に入る百合根は、東洋医学では喉の荒れを治して咳止め効果をもつ滋養強壮食とされ、結核患者の薬膳に利用されました。又鎮静作用があり、不眠症の人に、くるみや蓮(はす)の実などと同様、お勧めしたい食物のひとつです。
 
-  椎茸、若布(わかめ) -

 椎茸の傘の部分にエリタデニンという強い脱コレステロール作用をもつアミノ酸が含まれており、血液をサラサラさせ高脂血症や高血圧の改善に役立ちます。日本の古くからの民間療法に、前夜から椎茸の傘3〜5個をコップ一杯の水の中に浸し、朝起きぬけに茶漉 (ちゃこ)しで漉して、その水を飲むことを1ヶ月も続けると血圧が正常値にもどるという高血圧改善法がありますが、これはこの成分の働きにあります。又レンチナンという多糖類を含み、アガリスクタケと同様、ガンに対する体の抵抗力を高めてくれます。しかもカルシウムの吸収を促進するビタミンDを豊富に含んでおり骨粗鬆症の予防改善にも役立つのです。

 若布は古来、若返りの薬とされ、食物繊維が多く、便秘や大腸ガンの予防に欠かせない食材です。その上、ビタミンやミネラルはもちろん、カロチンや鉄分も豊富で、リンとカルシウムもバランス良く含むので、骨や歯を丈夫にする点でも欠かせない食材です。カルシウムを100g中960mgと多量に含むので、その吸収を促進するビタミンDの多い椎茸とともに、不足がちなお年寄りや妊産婦の方にしっかり食べていただきたい食物です。また血中の過剰なコレステロールを除き、動脈硬化を防ぐアルギン酸も豊富で、老化、白髪の予防、美肌作りにも役立ちます。

 
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